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尖閣列島探檢記事 (承前) −その4−

尖閣列島探検記事 (承前)
                                      黒岩 恒 

第4回


黒岩恒著「尖閣列島探檢記事(承前)」(明治33年9月)
地學雑誌第12輯532頁7行〜533頁2行


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【現代語意訳】

和平泊(わへいとまり)は本島南岸の中央に在る小さな湾で、安藤岬(あんとうさき)の左方に突き出て、浪が穏かな時きは、辛うじて一艘の伝馬船が出入りすることはできるが、安全な場所ではない。汽船は沖に200メートルの点に停泊している。水深は25m〜27mである。

和平泊は、私たちにとって第二の宿泊所にして、三棟の小屋がある。住み心地はやや良というところか。天空を仰ぎ望めば、奈良原岳は空に聳え、海上を渡る湿風を凝縮して、時に雲が髪を濡らす。奈良原岳の左方にある小さな渓(水はない)に沿うてよじ登る時は、頂上まで達することが出来そうである。小屋の東の方には海に接して湧水があるが、水力は弱く(永康丸はこの水も汲み取った)、飲み水に適しているとは言えない。この夜八時過ぎに不意に汽笛の声が聞こえた。島に近づいて来るもののようである。汽船が回航してくる予定日でないので変だとは思いつつも、先ずは合図を出すことに決めて烽火(のろし)をあげようとしたが燃やすものがない。仕方なく窓や扉の一部を取り外してこれに火をつけた。この烽火が思わざる効果があったことは後で判明した。暫くして上陸者があり(玉城氏)、始めて永庚丸が風波を避けて島陰に航行して来たのを知った。

和平泊は本島に於ける海藻類の好採集場で、一時間をさいて集めた標品は十六種に上った。





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【原文】

西岬(イリサキ)の險崖には昇降に供する爲、長大なる梯子を上下二段に架設せるも、半腐朽し極和平泊は本島南岸の中央に在る小灣にして、安藤岬其左方に斗出し、浪穏かなるときは、辛ふして一艘の伝馬船を出入し得べきも、安全の地にあらず、滊船は沖の方二百メートルの地に繋れり、水深十四五尋なり、
和平泊は、余等か爲には第二の宿泊所にして、三ヶの小舎を存す、結構稍佳なり、仰て蒼穹を望めは、奈良原岳峨々として空際に聳へ、洋流上を亘る濕風を凝縮して、時に雲髪を着く、岳の左方なる小溪(水なし)に沿ふて攀つるときは、頂上に達し得べし、舎の東の方、海に接して湧水あるも、水力強からず(永康丸は此の水をも汲取れり)、清冽の評を下す能はさるなり、此夜八時過き、不意に滊笛の響を聞く、本島に近き來るものヽ如し、滊船回航の約束日にあらさるを以つて之を訝りしも、先信號をなすに決し、烽火を挙けんとするに燃料なし、乃ち窓扉の一部を取外して之に點火したり、此信火か意外の効を奏したること、後にて明燎となれり、暫くして上時(間違い→陸)者あり(玉城氏)始めて永庚丸が風波を避けて比島陰に航し來りしを知れり、和平泊は本島に於ける藻類の好採集場にして、余か一時間を割愛してなしたる標品十六種に上れり)、




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【注釈】

※和平泊(わへいとまり)、「和平山」は魚釣島の別名。
※斗出(としゅつ)突き出ること。土地などがかどばって突き出ていること。
※十四五尋(25m〜27m)1尋1.829m
※峨々(がが)山や岩石などが険しくそびえ立っているさま。
※空際(くうさい)天と地との接する所。
※攀(よじ登る)




 

author:senkakujapan, category:尖閣列島探検記事, 20:17
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