RSS | ATOM | SEARCH
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

author:スポンサードリンク, category:-,
-, -, - -
尖閣列島探檢記事 (承前) −その5−

尖閣列島探検記事 (承前)     第5回
著者 : 黒岩 恒    
書籍 : 「地學雑誌」第12輯第141巻(明治33年9月)
      (532頁7行〜533頁11行)


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

【現代語意訳】

翌十四日は、いよいよ本島引き上げの当日なれば、残った島の東半分を探検することにして、あわただしく刳舟(くりぶね)に改装を施した。理由は、和平泊が徒歩による西回りのコースの最終点で、これから東は安藤岬の突き出し、和蘭曲(オランダマガリ)の曲入があり、陸上の通行は不可能だからである。

安藤岬の端には閃緣(せんりょく)岩の節理によってできた一大岩洞がある。沖から押し寄せて来る波頭の先には、白雲が生じては消え、消えては生まれている。その景象は甚だ豪宕(ごうとう)にて、尖閣列島第一の絶景である。

和蘭曲りより東岬(あがりさき)に至る沿岸一帯は、屏風岳(びょうぶだ)より崩落した岩塊をもって埋めつくされており、進行の困難なること、実に南島で比較できるものを見たことがない。東岬の珊瑚礁の上に一軒の小屋があるが、水流がない為に、珊瑚礁に溜った雨水を使用せざるを得ない。岬の北方には鉱泉の湧出地がある。砂岩の層の間から出ているもので鉄泉に属す。湧出量は少くなく、何とかこれを利用できないものだろうか。利用されることなく空しく海洋に注ぎ入りて消え去っているのは非常に残念である。

予定通り沿岸を一周した後、道安渓と大渓との中央から、奈良原岳の東方に向って横断し、あしかけ2日という短い時間であったが全島の探検を終了した。




☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

【原文】

翌十四日は、彌本島引上げの當日なれば、島の東半部を巡らんと欲し、痢膏蟒を艤装せり。蓋し和平泊は西廻り路の最終點にして、以東安藤岬の突出、和蘭曲り(オランダマガり)の曲入は、陸上の通行を許さヽればなり。安藤岬端には閃緣岩の節理によりて生したる一大岩洞あり。潮頭の去來する所白雲を吐呑し、景象甚た豪宕なり。之を尖閣列島中の一奇景となす。和蘭曲りより東岬に至る沿岸一帯は、屏風岳より崩落し來れる岩塊を以て埋め、行進の困難なる、實に南島無比と稱すベし。東岬の珊瑚礁上一軒の小舎あれ共、水流なきを以て、礁上に溜れる雨水を用ゐさるを得ず。岬の北方鑛泉の湧出地あり。砂岩の層間より出つるものにして鐵泉に屬す。湧出少きにあらず。空しく洋中に注瀉し去るは惜むべきの至りなりとす。余は沿岸一周の後、道安溪と大溪との中央より、奈良原岳の東方に向ひて横斷の線路を取り、以て本島の探撿を痢垢隆屬暴了せり。 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

【注釈】
01匆匆(そうそう)あわただしいさま。忙しいさま。
02突出(つきだし)突き出ていること。でっぱり。
03曲入(きょくにゅう)曲がりながら入りこむこと。
04潮頭(しおがしら)沖から満ちてくる潮の波がしら。
05吐呑(とどん)はいたりのんだりすること。
06刳舟(くりぶね)
07豪宕(ごうとう)気持が大きく物事にこだわらないこと。
08奇景(きけい)非常にすぐれた風景。珍しい景色。絶景
09鉱泉(こうせん)鉱物質・ガス・放射性物質などを1リットル中に1グラム以上含む湧泉(ゆうせん)。10広義には温泉と冷泉との総称であるが、狭義には冷泉をさす。
11鉄泉(てっせん)鉄泉は1978年(昭和53)の鉱泉分析法の改定により、含鉄泉となった。湧出後の酸化により、温泉が黄色、赤色を示すのが特徴。




 

author:senkakujapan, category:尖閣列島探検記事, 21:13
comments(0), trackbacks(0), - -
スポンサーサイト
author:スポンサードリンク, category:-, 21:13
-, -, - -
Comment









Trackback
url: トラックバック機能は終了しました。