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尖閣列島探検記事 第4回

黒岩恒著

「尖閣列島探検記事」 −第4回−

魚釣島(3)
 1.沖縄県五等属石澤兵吾が明治18年11月4日付差出した報告書


(地学雑誌第12集第140巻479頁9行-480頁17行)






・・・・・・・・・【現代文】・・・・・・・・・


○沖縄縣五等屬石澤兵吾か明治十八年十一月四日附差出したる報告書に曰く

明治18年10月29日午后4時西表島の船浮港(※01ふなうきこう)を出帆。針を西北に取り進航し、翌30日午前4時数海里を隔てて屹然としてそびえ立つものを発見、これがすなわち魚釣島である。同8時、端艇に乗り換えてその西岸に上陸したが、海岸は急な坂で容易に登ることができなかった。沿岸は又巨岩や大石が縦横にころがっており、それだけでなくしばしば海水が岩の穴に注ぎ入り歩行が自由にならない。その為に時間はかかったが漸くその南西の海岸を通り抜け全島の様相を探検することができた。
 島は恐らく一周12キロを超えないであろう。そして内部は巨大な岩石より成り立ち、全面『クバ』やアダン、ガジュマル等、大東島のように沖縄本島と同種の雑草雑木をもって蔽われ、ときおり谷間から清水が流るれのを見るがその量は多くない。平原はなく耕地に乏しい。海岸も多く、魚類も豊富であるが、前述したように険しい地勢だから、目下のところ農業・漁業の両業を營むには便利ではない。
 然し乍らその土石を観察すると、沖縄県八重山郡の西表島の南西2kmにある内離島(うちぱなりじま)の組織に類している。ただ石層の規模が大きいのが異なるだけである。このことから考えれば石炭又は鉄鉱石を包含するものではなかろうか。もし果たしてそうであるならば誠に貴重の島嶼である。

この島は我が国と清国との間に散在するものであるから、所謂日本と支那の海の航路にあたり、従って今も各種の漂流物があり、私たちの目撃せしものは、あるいは琉球船とおぼしき船板や帆檣(はんしょう・帆柱)、あるいは竹木。あるいは海綿・漁具、中でも最も目新しく感じたのは長さ2間半(4.5m)ばかり、幅四尺(1.2m)ばかりの伝馬船の漂流したもので、形は甚だ奇妙で、今まで見聞きしたことのないものであるから、これを出雲丸の乗組員に問うたところ、「支那における陸と船舶の連絡用の船である。」という答えであった。

無人島であるから樹木は繁茂しているが大木はない。野鳥にはカラスやタカ(9月であるから沖縄本島と同じく渡り鳥であろう)、ウグイス・ミミズク・メジロ・ハトにどがおり、海鳥の中で最も多いのはアホウドリである。この鳥は魚釣島の西南岸にある少しばかりの白砂を吹き寄せた地域より上部の谷間に至る一帯に地面が見えないほどに群集している。おそらくは数万匹はいるであろう。皆砂あるいは草葉を集めて巣となし、雌(メス)は卵を抱き、雄(オス)は雌を保護しまた養うようである。この鳥は日本名『アホウドリ』又『トウクロウ』又『バカドリ』等の名前がある。もとより無人島に棲息するのだから人を恐れるということがない。私たちが言っていたことは、「人を恐れないのだから、ひとつ生け捕りにしようではないか」と。それで皆先を争って行きその首を握って捕獲する。鳥は抵抗しないからそれこそ簡単なもので、両手に抱え、あるいは翼を結んだり、足を縛るものもいる。剛な者は、右手に三羽、左手に二羽をたずさえて以って意気揚々たるものである。私たちが我を忘れて卵を拾っても飛び去ることもない。あっという間に数十羽と数百の卵を取ることができた。則ちこれが天皇陛下にご覧戴いたアホウドリである。この鳥は海鳥の中で最大のもので、体重およそ6kgばかりもある。その肉は臭気があるが食料に適すと言う。今書籍を取り出して調べるとDiomedea屬にし、英語のAlbatrosと称するものであろう。コウモリの大なるものは大東島等に同じように棲息すると想像するけれども獣類はいないようである。







・・・・・・・・・【原文】・・・・・・・・・


記事名: 尖閣列島探檢記事
著 者: 黒岩恒
雑誌名: 地學雑誌
巻 数: 第拾貳輯−第百四拾巻 
頁 数: 479頁9行〜480頁17行
発行年: 明治三十三年八月
発行元: 東京地學協會


○沖縄縣五等屬石澤兵吾か明治十八年十一月四日附差出したる報告書に曰く
明治十八年十月二十九日午后四時西表島船浮港出帆針を西北に取り進航し翌三十日午前四時數海里を隔てヽ屹然として聳へたるものあり即ち魚釣島なり仝八時端艇に乘し其西岸に上睦するも峻坂なるを以って容易に登ること能はず沿岸は又巨岩大石縦横にあり且つ往々潮水の窟に注ぎ入るあつて歩行自由ならず故に漸く其南西の海陲鳰躱弔靴徳甘腓鯀蠅垢襪謀腓亮廻恐くは三里を超えざるへし而して内部は巨大の岩石より成立ち満面『コバ』樹阿旦榕藤等大東島の如く沖縄本島と仝種の雑草木を以って蔽ひ間々渓間より清水流るれとも其量多からす平原なきを以って耕地に乏し海雎ぢ欧防戮爐鯒Г譴箸眩稲の地勢なるか故に目下濃漁の両業を營むに便ならす然れとも其土石を察するに稍入表群島中内離島の組織に類して只石層の大なるを覺ゆるのみ依是之を考ふれは煤炭又は鉄鉱を包含せる者にあらさるか若し果して之あるに於ては誠に貴重の島嶼と言はさるべからず、該島は本邦と清国との間に散在せるも以って所謂日本支那海の航路なり、故に今も各種の漂流物あり小官等の目撃せしものは或いは琉球船と覺しき船板帆檣或は竹木或は海綿漁具就中最目新しく感じたるは長二間半許幅四尺斗りの傳馬船の漂流せしものなり形甚だ奇にして曾て見聞せさるものなれば之を出雲丸の乘組員に問うに曰く支那の通船なりと答へり
島地素より人蹟なけれは樹木繁茂すれとも大木は更になし野禽には鴉鷹(白露の候なれば沖縄と仝しく渡りたるものと見ゆ)鶯鴟目白鳩等にして海禽の最多きは信天翁とす此鳥魚釣島の西南霈しく白砂を吹寄せたる渓間に至るの間地色を見さる迄に群集す實に數万を以って算すべく而して皆砂或は草葉を集めて巣となし雌は卵を抱き雄は之を保護し又養ふか如し此鳥和訓『アホウドリ』又『トウクロウ』又『バカドリ』等の名あり素より無人島に棲息せるを以って曾て人を恐れず小官等共に語て曰く人を恐れされは宜く生捕となすべしと各先を爭ふて進み其頸を握る太た容易なり或は兩手に擁し或は翅を結て足を縛するあり或は右手に三羽左手に二羽を携て以って揚々得色或は卵を拾う等我を忘れて爲せとも更に飛去することなければ暫時數十羽數百卵を得たり則ち携帯し以って高覧に供せしもの是なり此鳥海禽中最大なるものにして量凡そ十斤に内外す嗅氣あれとも肉は食料に適すと云ふ今書に就き調ふるにDiomedea屬にして英語のAlbatrosと稱するものなるへし蝙蝠の大なるものは大東島等に均しく棲息すと想像すれとも獸類は別に居らさるべし、





 

author:senkakujapan, category:尖閣列島探検記事, 17:16
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