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「真の脅威」中国に目を向けない新防衛大綱の行方
「正論」平成16年12月号
http://www.sankei.co.jp/seiron/koukoku/2004/0412/ronbun1-1.html
「真の脅威」中国に目を向けない新防衛大綱の行方(1)

帝京平成大学教授 米田建三

大綱案の致命的欠陥
 小泉首相の私的諮問機関「安全保障と防衛力に関する懇談会」が、十月四日、報告書をまとめ、首相に答申した(本稿末尾に報告書骨子)。この報告書を踏まえ、政府は年末までに新たな「防衛計画の大綱」を策定することになる。

 報告書が、「はじめに」でも記述しているとおり、「統合的安全保障」の名のもとに、安全保障に国家の総力をあげて取り組むことを明記している点、また、国際活動をこれまでの第三者的な「国際貢献」から、重要な自衛の手段と意義付け直した点については大いに評価できる。

 更に、総理の下に置かれた懇談会として、憲法の枠組みの中で検討することを前提としつつも、憲法問題について付言するとともに、特に、武器輸出三原則の見直しを具体的に記述した点は、画期的ともいえよう。しかし、それらの「前進」を帳消しにしかねない根本的な欠陥があるのだ。

 まず指摘しなければならないのは、本報告書に「国益」に関する記述がまったく見られないことである。このため、我が国防衛政策の目的に関する記述が全般的に総花的になり、安全保障・防衛を見るときの「軸」が定まっていない。

 それが最も端的に表れているのが、安全保障政策の前提となる安全保障環境の見方である。米国が最も重視して対応すべきとしているテロ、大量破壊兵器の拡散等のグローバルな脅威と、北東アジア特有の北朝鮮、中国などの脅威を同列に扱っているのである。同列というよりも寧ろ、報告書全般を読むと、前者の「トレンドとなっている脅威」への対応を主眼に防衛力のあり方が論じられている。

 国益の観点からみれば、我が国の安全を直接脅かす北東アジア特有の脅威に軸足を置きつつ、その上で、テロ、大量破壊兵器の拡散等の新たな脅威にも配慮するというのが基本的な立場であるべきだ。国際社会や米国の要請があろうとも、国益にそぐわなければ応じない選択もありうるのが、独立主権国家の立場だ。

 国家の防衛力は「国際ボランティア部隊」ではない。我が国の生存・安全を脅かす脅威にこそ、国家機構の核心である軍事力をもって対処するのが基本である。その態勢が整っていることが、国力のバックボーンでもある。本報告書はトレンドに浮かれたのか、国防に対する基本的認識に欠陥があると指弾されてもやむをえまい。

 第一部の「二十一世紀の安全保障環境」で、守るべき価値として国民の生命・財産はあげられているが、国家の主権・独立が欠落しているのはどういうわけか。前二者と不可分ではないか。また多機能弾力的防衛力の考え方を提起するにあたり、現在の国際情勢を緊張緩和が進んでいるとしているが、北東アジアの情勢だけをみても、大きな誤りといわざるをえない。まさに、国益の概念を軽視する考え方と、軌を一にしているものだ。

 くわえて、絶対に看過できないのは、今や子供にも常識となった軍事覇権主義国家・中国の脅威を明記していない点だ。懇談会で、当局が中国の脅威の実情を説明したにもかかわらず、外交的配慮が働いた結果だといわれているが、この一点をもって、「我が国として初めて安全保障戦略を規定した」報告書の名誉は、雲散霧消してしまった。懇談会で握りつぶされた中国の脅威を、ここにあらためて指摘しておこう。


「900キロ制海・制空権確保」という新目標の脅威

 中国は伝統的な大国意識=中華思想をベースに、日本をはじめとする周辺諸国に対し、厚かましくも露骨な領土的野心を露わにしている。そのため、近年、軍事力の「量」から「質」への転換を図り、ゲリラ戦重視の「人民戦争戦略」から近代戦に対応できる正規戦主体の態勢へ移行している。

《弾道ミサイル戦力》大陸間弾道弾を含め約五百九十基。その内、中距離弾道ミサイル百基以上は日本全域が射程圏内。約四百五十基の短距離弾道ミサイルは、台湾正面に配備の模様。さらに新型ミサイルを開発増強中。

《陸上戦力》七個軍区、六十三個師団(約百七十万)。機動力、即応性を重視した快速反応部隊を編成。特殊部隊も優先的に整備し、空挺軍及び海兵旅団そのものを特殊部隊として運用。

《海上戦力》七百四十隻の艦艇を配備。ロシアから、対艦ミサイル能力向上のためにソブレメンヌイ級駆逐艦、また静粛性向上のためにキロ級潜水艦を導入など、近代化を実施。

《航空戦力》旧式機が主力であったが、ロシアから、一九九二年以降、対空能力向上のためスホーイSU27戦闘機を導入(一九九八年よりライセンス生産、現有百機)。また、二〇〇〇年以降、同機に対地能力を付与したスホーイSU30戦闘機を導入(現有五十八機)。計、約二千四百機の作戦機を配備。さらに空中給油、早期警戒管制等の能力の獲得を目指している。

 国防費をみても、一九八九年より二桁成長を継続、二〇〇三年国防予算は、前年比約一割増の日本円換算約二・六兆円だった。

 まさにこの軍事力を背景に我が国の抗議を無力化・無視して、尖閣列島に触手を伸ばし、我が国近海における海洋調査活動や中国海軍艦艇による各種活動を行っているのだ。また、日中中間線上のガス田採掘問題もある。これらを脅威と言わずに、何というのか。

 いつの日か、またどういうレベルの状況で発動されるのか判らぬ、アメリカまかせの日米安保条約頼みで事足りはしない。現在、国益は着々と侵されつつあるのだ。

 中台関係においては、台湾の独立を阻止するため、中国は武力攻撃も辞さずとの姿勢を明らかにしている。台湾が中国の制圧下に入ることは、何を意味するのか。まずは、中国がアジア・太平洋地域に軍事的覇権を確立するための大きな一歩になるだろう。また我が国にとっては、我が国への物資の海上輸送ルートを、いつでも遮断されうる事態を招く。

 中国軍は今年七月、台湾をにらんでの陸海空三軍による合同軍事演習を実施したが、これは台湾独立の予防的な訓練というより、積極的で攻撃的なものであり、制海・制空権確保を視野に入れ、電撃的な攻撃により米国の介入を阻む演習であった。この演習で注目すべきは、大陸海岸線から九百キロメートルの制海・制空権確保が目標とされたことである。

 まさに沖縄本島までが約九百キロであり、尖閣諸島周辺や在日米軍基地等も対象になる。このように、我が国の南西諸島に対する中国の脅威が顕在化しつつあるのだから、今日、陸上戦力の配備がない石垣・宮古等を含む南西諸島の防衛力強化を、懇談会報告書がうたっても何ら不思議はないのである。

 報告書が中国の脅威に目をつぶった罪は重い。政府の新防衛大綱決定までに、自民党内外の声が高まって、修正されるかどうか注視したい。

→つづく

 【略歴】米田建三氏 昭和二十二年(一九四七年)、長野県生まれ。横浜市立大学商学部卒。徳間書店に入る。代議士秘書、横浜市議を経て平成五年の衆議院選挙で初当選。当選三回。同十四年十月、小泉改造内閣で内閣府副大臣。拉致問題にも精力的に取り組んできた。同十六年一月から現職。安保政策・国際関係論の講座を担当。

 「正論」平成16年12月号

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「正論」平成16年12月号
http://www.sankei.co.jp/pr/seiron/koukoku/2004/0412/ronbun1-2.html

「真の脅威」中国に目を向けない新防衛大綱の行方(2)

帝京平成大学教授 米田建三

「多機能弾力的防衛力構想」の美名に潜む本音は
 

次に報告書各項の問題点をひろってみよう。

 第一部1の「二十一世紀の安全保障環境」で、北朝鮮の脅威として例示されたのが大量破壊兵器開発や弾道ミサイル開発・配備のみであり、約十万人いるといわれる特殊部隊についての記述がない。北朝鮮のミサイルは政治的に大きなインパクトを持つが、軍事的な脅威としては、我が国の重要施設等に対する特殊部隊による攻撃も重要かつ喫緊の課題である。北朝鮮から工作員が頻繁に侵入していることは、拉致事件で証明済みではないか。

 また同2の「統合的安全保障戦略」の考え方を展開するに当り、従来の「基盤的防衛力」の概念の見直しを訴え、「多機能弾力的防衛力」の概念を提起している。「基盤的防衛力」とは、ひと言でいえば、「特定の軍事的脅威に直接対抗しないが、力の空白となって不安定要因とならないための必要最小限度の防衛力」だ。いわば、空き部屋ではまずいから物を入れておくといった類の話で、極めて軟弱ではあるが、一応、国家間の紛争に備える考え方が基底にはあった。

 ところが本報告書は、前述したように、国際情勢を緊張緩和が進んでいると誤認したうえに、非国家主体のテロなど(実はほとんど国家が背景に存在)の脅威の増大をもって、「基盤的防衛力」の考え方を見直すというのだ。我が国周辺の国際環境においては、引き続き国家間紛争の抑止が重要な部分を占めることを考えると、国家間紛争の抑止の重要性を過小評価していると言わざるをえない。むしろ、北朝鮮特殊部隊やミサイルの脅威、中国の離島侵攻の脅威に対処して、それに対する所要防衛力の上積みの必要性を明示すべきではないのか。

 さらに、同項では、例によって百年一日のごときお題目「日本の安全保障努力は他国に脅威を与えるようなものであってはならない」がうたわれている。およそ国家の防衛力において他国に脅威を与えないなどということがあろうか。本来、抑止力とは「侵略あらば報復あり」という潜在的打撃力である。自虐的“本土決戦”思想に基づく「専守防衛構想」においてすら、甚大な被害を相手に予測せしめてこそ侵略を抑止できるのである。まぎらわし言い草はやめたほうがいい。

 国防は他の国家機能と異なり、国家の安全を担う根源的なものである。したがって、少子化や厳しい財政事情という制約に配慮するとしても、所要量に対するいたずらな抑制は、国家のリスクに直結する。ところが、本報告書に一貫して流れているのは、まず削減、縮減ありきという考え方である。

 たとえば、多機能弾力的防衛力の項で、「これまで基盤的防衛力として整備されてきた自衛隊が、災害救助・PKOに立派に従事してきている」ことをもって、今後も、規模を拡大することなく、益々増大する多様な役割を果たすことができるがごとき見解が述べられている。これは、実情を知らないシロウトの戯言に等しい主張である。

 国際貢献ひとつを見ても、イラクなどに派遣されている何倍もの人員が同活動に携わっているのだ。多機能弾力的防衛力構想とは、諸状況に柔軟に対応するための防衛力の整備だと捉えては騙されることになる。本音はスクラップ・アンド・ビルドによる削減構想なのである。

 第三部「防衛力のあり方」でも、「本格的侵攻に備えた中核的な戦闘力については、不確定な将来への備えとして、適切な規模の基盤は維持しつつ」としながら、「思い切った縮減を図る必要がある」と論理が反転する。国防の中核的役割を考えるなら、適切な規模の基盤の維持こそが主眼であるはず。せめて「中核的な戦闘力は、現在の情勢を踏まえて、その規模を適切に見直したうえで、国家の基盤として維持していくべき」とすべきであった。

 我が国の主権・生存・独立にとって喫緊の脅威のひとつは、北朝鮮の特殊部隊である。一九九六年九月、北朝鮮の特殊部隊が侵入したカンヌン事件で、僅か二十六名の特殊部隊を掃討するため、韓国陸軍が六万人を約五十日間にわたって投入せざるをえなかった事実を忘れてはならない。

 懇談会メンバーでもある財務省OBが、本年夏、外部での講演後の質疑で、陸上自衛隊の縮小を主張した。本報告書に一貫する防衛力削減の考え方が、財務省主導ではないかといわれるゆえんである。ついで本年十月九日、一部全国紙が、政府方針として陸上自衛隊の定員四万人削減を突如として報じたが、自民党国防部会の防衛政策検討小委員会で、その根拠が厳しく問われたのは当然である。

 ちなみに、自民党国防部会・防衛政策検討小委員会は、本年三月三十日の「提言・新しい日本の防衛政策」で、陸上防衛力について、「任務の多様化を考慮し、国際活動を含む多様な事態に即応できる能力を有する部隊の創設や増員の可能性を含む適切な人員規模・部隊配置について検討することが必要」と述べている。これが常識というものであろう。


自虐的「専守防衛」思想の枠内にとどまる
 冒頭で述べたように、本報告書には幾つかの画期的な前進がある。しかし、事の重大性からして、やはり躓きや綻びを指摘せざるをえないのである。

 そのひとつは、弾道ミサイル攻撃への対応問題である。第二部、1に緊急事態対処の項があるが、そのなかで、「発射から着弾までの十分程度の間(北朝鮮のミサイルの場合・筆者注)に閣議を開いて対処方針を決めるのは、きわめて難しい」として、ミサイル迎撃命令に係る、従来の防衛出動下令規定や総理権限の見直しの必要性を示唆し、また迅速適切な対応ができるような現場への権限配分等につき早急に検討して結論を出さねばならないと述べている。このことは、従来からの防衛政策上の重大な懸案事項に明確に踏み込んだという点で大いに評価したいが、第三部「防衛力のあり方」では、ミサイル防衛に係る策源地(敵基地)攻撃能力保持について、「費用対効果や周辺諸国に与える影響等も踏まえ、総合的に判断すべき」と、腰砕けになってしまった。周辺諸国は既に、我が国を射程距離に入れたミサイルを配備して恫喝しているではないか。にもかかわらず、彼らに配慮するというのである。

 この問題に関し、昭和三十一年、画期的な国会答弁が行われた。

「座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨だとは、どうしても考えられない。…誘導弾等の攻撃を防御するのに、他に手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能であるというべきものと思う」(衆院内閣委、鳩山一郎総理答弁・船田中防衛庁長官代読)

 しかし、同三十四年には早くも後退する。

「しかし、このような事態は今日においては現実の問題としておこりがたいのであって、…平生から、他国を攻撃するような、攻撃的な脅威を与えるような武器を持っているということは、憲法の趣旨とするところではない…」(衆院内閣委、伊能繁次郎防衛庁長官答弁)

 さらに、昭和四十五年の防衛白書に初めて正式に記述され、後に定着した「専守防衛」構想が、ミサイル攻撃に対する抑止・反撃能力の放棄を決定づけてしまった。何しろ、「防衛上の必要からも相手の基地を攻撃することはできない」、「相手国の基地を攻撃するような兵器を装備することはできない」というのだから、国家・国民の安全を無視した薄気味悪い自虐ぶりには、ただただ呆れる他はない。

 我が国の自衛権と集団的自衛権の保持は、国連憲章やサンフランシスコ講和条約でも認められているし、現行憲法でも自衛権の保持は否定されていない。しかも、自衛権については、それが行使されるエリア、自衛力の質や量について何らかの国際法上の制限規定があるわけではない。憲法九条の解釈→最小限の自衛力→自虐的「専守防衛」、この悪しき循環を、本報告書は断ち切って欲しかった。

 ミサイル防衛について、本報告書は「海自のイージス艦、空自のパトリオット、バッジシステム等を活用」というが、そういった迎撃体制だけで飛来するミサイルをすべて撃ち落とすことは不可能だし、全土をカバーするためには膨大な費用がかかることを勘案すれば、抑止力としても、策源地攻撃能力の保持は不可欠だ。

 前述したように、本報告書ではミサイル攻撃など緊急事態への対応として、総理権限の強化などの必要性を述べ、さらに、内閣官房が充分な企画立案機能や危機対処機能を有する必要性も強調している。緊急事態に際しては、政治の中枢、なかんずく総理官邸の機能強化は不可欠だ。

 同じ問題意識から前述・自民党提言は、総理の補佐機能強化として防衛庁出身の総理秘書官、自衛官の副官の設置、また統合幕僚長の助言機能等をあげた。統幕長については、安保会議への常時出席を法律上明記することも提言している。緊急事態に際して、軍事専門家の知見を活用するのは当然だ。ましてや、官邸スタッフは諸官庁出向組の寄せ集めなのである。ところが、本報告書にはその視点がごっそりと欠けているのだ。

 同じ項で、報告書はシビリアンコントロールの重要性を強調している。しかし、今日、問題になっているのは、防衛政策の根幹を損ないかねない過度な制服組排除のシステムなのである。総理官邸に軍事専門家が少ないことだけでなく、防衛庁においても、長官を補佐する防衛参事官が内局(背広組)幹部のみで占められている点、また内局と自衛官の役割分担の見直しが課題になっているのだ。シビリアンコントロールとは、背広組の事務官が制服に対して優越することではない。政治による軍事の統制、即ち選挙で選ばれた政治家の決断が軍人に優越することを意味しているのである。

 くわえて、これまたかねてよりの懸案、防衛庁の省昇格問題はどうか。安全保障会議の機能強化の項のなかで、「国防組織のあり方については…諸外国の例なども参考としながら議論していくべきである」と極めて遠まわしに触れているだけである。あの任務、この任務と仕事だけはたっぷり押し付けているくせに、ずいぶんトボケた話だ。

 集団的自衛権について、自民党提言は、「日米安保体制の実効的対応の確保や国連の集団安全保障への参加等広範な国際協力の途を切り開くことが必要となってきており、集団的自衛権の行使を可能としなければならない状況にきている」とし、そのためには、「憲法改正、政府の解釈変更、新たな法律の制定による合憲の範囲の明確化、国会の決議等が考えられる」と選択肢まで提示した。

 この問題について本報告書は、付言「更に検討を進めるべき課題−憲法問題」のなかで、こう述べている。

「個別国家の持つ集団的自衛権の問題と国連が行なうPKOや集団的措置の問題はそれぞれ別個のものとして整理して論ずべきとの意見もあった」「集団的自衛権の行使に関連して議論されるような活動のうち、わが国としてどのようなものの必要性が高いのか、現行憲法の枠内でそれらがどこまで許容されるのか等を明らかにするよう議論を深め、早期に整理すべき」

 ひとつの前進ではある。しかし、どうやら限定行使の線を考えているようだ。“整理”の結果、限定が過ぎると、流動し変化する国際安全保障環境に、またしてもついていけない事態になりかねない。そもそも今日の国際社会では、国家に対して等しく個別的自衛権と集団的自衛権が付与されているにもかかわらず、「集団的自衛権を保有しているが、行使は憲法上、許されない」という妙な解釈を政府が従来してきたのである。行使する状況をあらかじめ限定するのではなく、いつ、いかなる時に行使するかは、主権国家としての選択、判断によるとするのが、本来の姿ではあるまいか。

→つづく

 【略歴】米田建三氏 昭和二十二年(一九四七年)、長野県生まれ。横浜市立大学商学部卒。徳間書店に入る。代議士秘書、横浜市議を経て平成五年の衆議院選挙で初当選。当選三回。同十四年十月、小泉改造内閣で内閣府副大臣。拉致問題にも精力的に取り組んできた。同十六年一月から現職。安保政策・国際関係論の講座を担当。


 「正論」平成16年12月号 論文

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 「正論」平成16年12月号
http://www.sankei.co.jp/pr/seiron/koukoku/2004/0412/ronbun1-3.html

「真の脅威」中国に目を向けない新防衛大綱の行方(3)

帝京平成大学教授 米田建三

《「安全保障と防衛力に関する懇談会」 報告書骨子》
第一部 新たな日本の安全保障戦略


1、21世紀の安全保障環境

 9・11以降、テロリストのような非国家主体などによる複雑多様な脅威に対処しなければならない時代へ。

2、統合的安全保障戦略

 日本の安全保障を確保するためには、二つの目標(日本防衛、国際的安全保障環境の改善)を、三つのアプローチ(日本自身の努力、同盟国との協力、国際社会との協力)で実現する「統合的安全保障戦略」が必要。

3、多機能弾力的防衛力

 少子化や厳しい財政事情などの制約も踏まえ、情報機能を強化するとともに、教育・訓練・整備計画等を改革し、防衛力を弾力的に運用することによって、多様な機能(テロ対処、弾道ミサイル対処、国際協力等)を発揮できるよう、「多機能弾力的防衛力」を追求。

第二部 新たな安全保障戦略を実現するための政策課題

1、統合的安全保障戦略の実現に向けた体制整備

 弾道ミサイルへの対応等における迅速・的確な意思決定の仕組みの整備、情報の収集・分析能力の一層の強化、内閣の頭脳に当る安全保障会議の機能の抜本的な強化等が必要。

2、日米同盟のあり方

 米国との戦略対話を通じて、日本の独自性をも踏まえつつ、主体的に日米両国の協力と役割分担のあり方を明らかにしていくことが必要。

3、国際平和協力の推進

 政府全体として統合的に国際平和協力に取り組むため、各組織の連携強化、国際平和協力の自衛隊の本来任務化、一般法の整備の検討などが必要。

4、装備・技術基盤の改革

 武器輸出三原則については、弾道ミサイル防衛の進捗等を踏まえ、少なくとも同盟国たる米国との間で、武器輸出を緩和すべき。その際、見直しの範囲については、国際紛争の助長を回避するとの基本理念を尊重しつつ、過去の経緯などを踏まえて検討する必要。

第三部 防衛力のあり方

1、防衛力が果たすべき役割と保有すべき機能

(1)日本防衛のための役割と保有すべき機能

 大規模な武力侵攻への対応から、弾道ミサイル、ゲリラや特殊部隊による攻撃、大規模なテロなど新たな多様な脅威への対応に重点を移し、規模を拡大することなく、即応性を一層高めた防衛力の体制を構築。

(2)国際的な脅威の予防のため必要な役割・機能

 国際社会の要請に迅速に応えて国際平和協力活動に参加し得る体制を構築。

2、新たな防衛力の体制

(1)新たな防衛力の構築に当っては、少子化や財政難などの制約要因を考慮し、重点的な資源配分等に留意。

(2)陸・海・空防衛力については、これまでの体制を見直し、戦車、火砲、護衛艦、航空機などを縮減・効率化する一方、全体として機動力、輸送力等を向上。併せて、統合の推進、ミサイル防衛システムの整備、情報機能の強化、適切な人事施策の推進を図る。

第四部 新たな「防衛計画の大綱」に関する提言

「国防の基本方針」の考え方をも包含する新たな安全保障戦略を示すものとする必要。

付言 更に検討を進めるべき課題−憲法問題

 懇談会の提言は、憲法の枠内でまとめたもの。今後は、集団的自衛権などの憲法問題について、幅広い視点から議論されていくことが期待される。

 【略歴】米田建三氏 昭和二十二年(一九四七年)、長野県生まれ。横浜市立大学商学部卒。徳間書店に入る。代議士秘書、横浜市議を経て平成五年の衆議院選挙で初当選。当選三回。同十四年十月、小泉改造内閣で内閣府副大臣。拉致問題にも精力的に取り組んできた。同十六年一月から現職。安保政策・国際関係論の講座を担当。


 「正論」平成16年12月号






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