RSS | ATOM | SEARCH
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

author:スポンサードリンク, category:-,
-, -, - -
長谷川博氏のアホウドリの研究から (2)
(尖閣諸島南小島の繁殖状況について<この題名は私が勝手につけたもの>)

http://www.mnc.toho-u.ac.jp/v-lab/ahoudori/research/report/kinkyo/kinkyo3.html
3.尖閣諸島南小島

    2001年3月6〜7日に尖閣諸島を空から調査し、南小島に着陸して一泊すること
ができた。これまでは日帰り調査だったため、くわしい観察は不可能だったが、
今回は余裕をもって南小島をくまなく調査することができた。
ひなの数は、人が近づくことのできない断崖の中段にある狭い岩棚に12羽、島
の頂上部の斜面に12羽、合わせて24羽だった。
ひなの数は、1988年4月には岩棚に少なくとも7羽で、91年3月には岩棚に10羽、
92年4月にも岩棚に11羽だったから、今年は約2倍に増え、しかも営巣範囲が
拡大した。

ひな以外に、合計79羽の成鳥と繁殖年齢前の若鳥を観察した。岩棚に41羽、頂
上部に36羽がいて、隣の北小島の頂上部の平地にも2羽がすわっていた。
もちろん、これらは尖閣諸島の集団の一部にすぎず、海に出て採食していた鳥
は含まれていない。

これらの観察から、鳥島での観察にもとづいて、この集団の大きさをおおまか
に推測すると、繁殖つがい数は約40組で(繁殖成功率を60%と仮定)、総個体
数は約170羽となる。したがって、2001年6月には、巣立ったひなと合わせて約
200羽になったと考えられる。




http://www.mnc.toho-u.ac.jp/v-lab/ahoudori/research/report/kinkyo/kinkyo4.html
4. 2集団の間の個体の交流

    南小島で調査中に足環のついた鳥がいるかどうか、50羽ほどをていねいに観察
した。しかし、1羽も標識個体を観察することができなかった。つまり、鳥島
から尖閣諸島に移入した個体は確認されなかったことになる。
伊豆諸島鳥島では、滞在中に少なくとも5羽の若い未標識の鳥(羽色から3〜8
歳と推測)が観察され、そのうちの1羽はひなに給餌していた。

私は、鳥島でほとんどすべてのひなに足環で標識してきたから、足環の脱落が
ほとんどないとすれば、これらは鳥島以外、つまり尖閣諸島で生まれた個体で
あると推測することができる。
まだ、直接的で積極的な証拠は得られていないが、2集団間で個体の交流があ
る可能性が非常に高い(少なくとも尖閣諸島集団から鳥島集団への移入)。

なお、弘前大学農学生命科学部の黒尾正樹さんたちと共同で、鳥島集団の遺伝
学的多様性を解明している(2001年10月の日本鳥学会で研究発表、後述)。




http://www.mnc.toho-u.ac.jp/v-lab/ahoudori/research/report/kinkyo/kinkyo5.html
5. むすび

    鳥島でも南小島でも、アホウドリの個体数は順調に増加し、総個体数はおよそ
1500羽に回復した。そして、アホウドリは“復活の離陸”を開始した。
もし、陸上(営巣地)と海洋(採食域)の両環境が今後も現状で維持されてア
ホウドリ集団が順調に増加すると仮定すれば、鳥島集団の繁殖つがい数は、2005
年に約300組を超え(約200羽のひなが巣立ち)、2008年ころ400組、2010年に
は約500組、2020年には約1000組になると予測される。

そして、尖閣諸島の集団は、鳥島集団の個体数増加カーブを20〜25年遅れてた
どることになると考えられ、繁殖つがい数は、2005年に約50組、2010年には約
75組、2015年には100組、2020年には150組を超すと推測される。

鳥島や尖閣諸島のほかでは、2000-01年のシーズンに、北西ハワイ諸島のミッ
ドウェー環礁に、鳥島で生まれた4歳(新加入)、8歳(新加入)、13歳、14歳、
19歳の5個体が訪れた。
それらの潜在的繁殖能力を無駄にしないように、2000年11月から、アメリカ連
邦政府魚類野生生物局ミッドウェー環礁国立野生生物保護区事務所は「デコイ
作戦」を開始した(これには2000年、「アホウドリ基金」や「オーシャニック・
ワイルドライフ・ソサエティ」、積水ハウス梅田オペレーションズ株式会社が
協力した。後述)。

まだ、上記の2羽の新加入を除けば、新つがいの形成という具体的な成果は得
られていないが、鳥島から巣立つひなの数が増え、それにつれてミッドウェー
島に移入する個体が増えれば、いずれここに新しいコロニーができる可能性が
ある。

さらに、2000-01年繁殖期には、小笠原諸島聟島列島の嫁島でも1羽のアホウ
ドリが観察された(「小笠原諸島でアホウドリが“営巣”」という報道がなさ
れたが、東京都小笠原支庁自然公園係によって収集されたさまざまな観察結果
から判断すると、繁殖の積極的証拠がなく、これは私の判断では「誤報」だと
考えられる。
孵化しなかった卵の大きさやその他の状況証拠から判断して、クロアシアホウ
ドリの放棄卵を抱いていた可能性が高い。あるいは、その卵を乗っ取ったこと
も考えられる)。

このように、アホウドリの個体数の増加にともない、繁殖地の島以外にもアホ
ウドリが訪れるようになった。これを、かれらの繁殖分布拡大の傾向とみなし
ても間違いではないだろう。

アホウドリ再発見50周年の年に、私たちはかれらの復活への離陸を目のあたり
にしている。かれらの助走をもう少し後押しすれば、20年後には目標の5000羽
を超え、アホウドリたちは完全復活を成し遂げるにちがいない。
そのことに積極的に関わってきた私たちは、それを大いに喜び、素直に誇りと
しよう!

author:senkakujapan, category:尖閣諸島の自然, 12:57
comments(0), trackbacks(0), - -
スポンサーサイト
author:スポンサードリンク, category:-, 12:57
-, -, - -
Comment









Trackback
url: http://senkakujapan.jugem.jp/trackback/47