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東シナ海ガス田が奪われる日
東シナ海ガス田が奪われる日

    −対等な日中関係は喧嘩なしでは築けない

       −中川昭一(衆議院議員・自民党)
(VOICE 3月号)

(1)訪中の必要はあったのか

 昨年十二月二十七日から三十日にかけて、福田康夫総理は中国を訪問し、胡錦濤国家主席や温家宝首相らと首脳会談を行なった。新しい総理大臣が主要国のトップと会談する。このこと自体は重要である。しかしはたしてこの時期に、訪中を行なう必要があったのだろうか。

 昨年四月に温家宝首相が来日し、当時の安倍総理と会談したとき、「年内にもう一度中国でお話ししましょう」という誘いがあった。だがこれはおかしな話で、安倍総理はすでに一昨年、中国を訪問している。温家宝首相は「首相」とはいう肩書だが、序列からいえばナンバー2であり、日本ならば官房長官のような立場だ。官房長官が来たのなら、次は日本の外務大臣ぐらいが訪中するのが妥当である。

 前回、向こうから来たのがナンバー2だから、こちらのナンバーワンが二度続けて行く必要はなかった。今回の訪中では、今年の桜の咲くころ、胡錦濤国家主席が訪日することで一致したそうだが、それこそ外交上の対等な関係である。

 もっとも今回の場合、こちらは総理大臣が代わり、しかも就任後の昨年十一月、福田総理はアメリカを訪問している。隣国である中国や韓国を訪問するのは、百歩譲って儀礼として問題ないとしておこう。看過できない取り決めが行なわれていれば大変だが、少なくとも私の聞いているかぎり、温家宝首相との会談後の共同記者会見で、福田総理が台湾独立を「支持しない」と述べたのに、中国側の通訳が、独立に「反対である」と訳すアクシデントがあったこと以外、不自然に思われる出来事はなかった。

 昨年十月には、中国共産党一七回全国代表大会が開かれている。中国も新しい体制になり、重圧もあることだろう。今年は北京オリンピック開催の年でもあり、言論弾圧をはじめとする民間人への弾圧が増えているという話も聞く。一方で日本の政治情勢も不安定で、お互いの国にとって政治的にデリケートな時期にあることは間違いない。日本にとっても大変だが、中国にとっても大変なときなのだ。

(2)日本政府の不作為

 今回、両国の懸案事項になっている東シナ海のガス田開発問題では、福田総理と温首相の会談で、早期の解決策を見出すことで一致が見られたが、具体策は決まらなかった。現在の日中関係を考えるうえでこの問題は最も気を配るべきもので、容易に決着がつかないのは当然だ。しかしわれわれはもう一度、この問題について、認識を深くしておくべきだろう。
 
昨年秋、私がガス田を視察した際にも、中国は「白樺(中国名春暁)」の開発を着々と進めており、「楠(中国名断橋)」近くの八角亭でも、採掘が始まっていた。

 日中の排他的経済水域(EEZ)の中間線近くで中国が勝手に採掘することについて、単純に「中国が悪い」というつもりはない。中国でも、アメリカでも、どの国でも、自分の国益を考えて行動するのは当然の原理である。そこに天然資源が眠っているのならば、なおさら簡単に譲るはずがなかろう。

 責められるべきは日本側の態度で、問題を何十年も放置してきた結果、土俵際まで追い詰められてしまった。国際法上、本来なら日本の主権の及ぶ海陸空を相手の自由に任せていたのだから、「日本は開発する気がない」と思われても無理はない。日中中間線をまたぐ海域の共同開発を日本が提案しても、中間線の日本側海域のみでの共同開発を中国が主張するという擦れ違いをつくってしまったのは、わが国の責任である。

 私は経済産業大臣であった二○○五年、三十五年にわたって政府に試掘出願していた民間企業に試掘権を与えたが、これもそうした日本の態度を改めるためである。まずは国内法に則ってきちんと行動することが重要で、その一つが民間企業への試掘権の付与なのだ。

 その次になすべきは何か。漁業者をはじめとする利害関係者との話し合いである。試掘権が与えられている区域は、EEZとは関係ない日中中間線のはるか内側にある。日本の民間企業が日本の漁業者と話し合うだけのことで、これは純粋な国内問題だ。わが国が独自に進めればよい。

 一方、日中の話し合いが膠着しているのであれば、国際司法裁判所あるいは国際海洋裁判所に訴える。今回の首脳会談でも「国際法に則り、早期に解決策について合意をめざす」という共通認識がもたれた。国際法とは国際海洋法であり、国際司法裁判所における判例を指す。それらを基に、粛々と話を進めるのだ。

 日本はこれまでやるべきことをやらず、譲歩ないし、不作為をしつづけてきた。私はよく日本のサッカーを例に出すが、フェアプレーだがボールをグルグル回しているだけ、という状態だったのである。相手は反則しながらも、点を入れに来ている。その結果、最後にはロスタイムで負けてしまう。

 一刻も早く民間企業に対し、日本の貴重な資源を開発するための後押しを行ない、その一方で国際法に則った行動をとらなければならない。いまの状態が続けば東シナ海ガス田は、完全に中国のものになってしまう。


(3)問題は経済人よりも政治家

 今回の首脳会談では、両国の「戦略的互恵関係」を具体化するため、安全保障の側面で中国人民解放軍の若手将校を日本に招き、自衛隊の若手幹部や有識者との交流を実施することも確認された。しかし、これはあまりに早急である。まずイージス艦の情報漏れ問題を解決し、防衛省を組織として立ち直らせる。それまで日本は余計なことをすべきでない。

 いま日本の防衛は、外の脅威と同時に、内からおかしくなっている。内がグラグラしているときに、外にある最も脅威の国と仲良くしようという発想自体、私には理解できない。

 また今回の福田総理の予定に合わせ、トヨタ自動車の奥田碩相談役や渡辺捷昭社長も中国を訪れ、現地のトヨタ工場を案内して回った。「政治が経済を動かすのはどうか」と見る向きもあるが、一般論としていえば、停滞している日本経済にとって、トヨタのような元気のよい会社が中国で儲けてくれるのはけっこうなことである。私も経済産業大臣時代、インドに経済代表団を連れて行ったことがあり、その後、小泉首相のブラジル訪問に際し、経済界の人間を連れて行くことも提案した。当時は政財界の癒着といわれたりもしたが、世界各国にとってこれは当たり前の行為だ。

 もちろん知的財産権の保護には十分注意を払ったほうがよい。とくに中国にはハニートラップ(女性をエサにした罠)をはじめ、落とし穴がたくさんある。しかし私が知るかぎり、経済界の人たちはそのあたりをよく心得ている。二、三十年前なら中国でひどい目に遭い、ボロボロになって帰ってくる話も少なくなかった。だが最近は、知的財産権の問題、労働者の雇用形態の違いなどについて企業は十分に承知しており、そのうえで中国に進出する会社もあれば、進出しない会社もあるというかたちになっている。

 むしろ問題は政治家だ。東アジア通貨圏構想や東アジア共同体構想など、「日中は一体化すべき」というイメージを抱いている人が少なくないように思われるが、ほんとうに中国の危険性をわかっているのだろうか。


(4)最大の懸念は金融不安

 では今後、北京オリンピックや上海万博を経て、中国はどこへ向かうのだろうか。ひたすら経済成長をめざし、邁進しつづける。中国のこの行動はよく理解できる。一三億人超の人口を抱え、大学卒業者が年間一○○○万人もいるとなれば、経済成長が最低八〜一○パーセント必要という指摘は妥当だろう。それでも大学を出て職に就けない人が増えているという話を聞くにつけ、中国が必死になるのは当然である。

 とはいえ現在の伸び方は、あまりに異常といってよい。たとえば日本の外貨準備高が年間四○○億〜五○○億ドルペースで増えているのに対し、中国は二○○○億ドルペース。総額も日本は今年一兆ドルになるかといったところなのに、すでに中国は一兆五○○○億ドルに迫りつつある。そこにプラス面とマイナス面が同時にあることは確かで、経済産業大臣時代に中国の閣僚と環境や省エネなどについて話し合ったときにも、彼らはそのことをよく理解していた。

 やはり金融不安の発生が最大の懸念事項だろう。アメリカ発のサブプライムローン(低所得者向け住宅ローン)問題に影響されて中国経済が大打撃を受ければ、株価も大幅に下落する。中国では日本以上に一般人が株を買っているという話を聞く。自分の投資した資産が半分になったとなれば、大変な社会不安が起こりかねない。

 過去の歴史を見れば、圧政を敷くほど民衆は反乱を起こすのが常識だが、儲かりさえすれば民衆は文句をいわない。ところがある日、上海の株式市場がいきなり大暴落し、アメリカへの輸出も激減したとなれば、十数億の民は怒り狂うだろう。

 原因がアメリカだけに、中国政府もその対処は難しい。経済・金融の両方で、大ダメージを受けかねない。北京オリンピックと上海万博が終わるまでは息が続くといわれる中国経済だが、世界経済の状況を見ていると、下手をすればオリンピック前にも、おかしな状況になりかねない。

 もちろんこれは日本にとっても大問題である。いまや日本に対する中国の影響力は大変なものだ。中国が混乱すれば日本も大きな影響を受ける。しかも日本の体力が落ちている時期だから、クラッシュがどのくらいの激震になかは計り知れない。

 唯一の救いは、中国は国会もなければマスコミも実態として存在しない、超法規的に何でもできるということだ。最終局面では国際ルールや国内ルールに関係なく、ドラスティックな対応をして、事態を収めるだろう。

 経済以外にも地方と都市の格差、大規模な環境汚染など、さまざまな問題を中国は抱えている。環境問題では二○○五年に吉林省の化学工場が爆発し、有毒物質が川に流れ込む事件があった。この有毒物質はいまのところ中国内塩漬けになっているが、オホーツク海や日本海に流れてきたら大変なことになる。界隈で採れた農産物や水産物が日本に入ってくる危険もある。こうした問題を抱えた隣人と、日本は付き合っていかねばならない。


(5)「都合のいい日本」にならない
 日本が忘れてならないことがある。わが国は中国から見れば一○分の一程度の人口しかないが、太平洋の入り口にバリケードのように存在する目障りな国なのだ。ロシアや朝鮮半島にとってもこれは同じで、大陸の端にベタッと張り付き、邪魔をするがごとき存在なのである。どのくらい目障りかを実証するため、かつて自民党で「ソ連から見た日本地図」なるものをつくってポスターにしたこともあった。

 しかしだからといって、「消えろ」「いうことを聞け」といわれてもわれわれは困るのである。もちろん中国とも、ロシアとも、朝鮮半島とも「仲良く」すべきだが、「仲良く」とは全面的に折れることではない。繰り返しになるが、綺麗なプレーしかしなければ、相手からバカにされるだけだ。時にはシュートしたり、ペナルティエリアに突っ込んだりして、結果的に反則を取られても、激しいプレーをすべきなのだ。

 しかし何十年も前から打つべき手を打たないできた日本は、たとえば歴史問題一つとっても文化大革命後の復興のため、彼らにいいように利用されてしまった。中国において内政と外交はつねに一体である。日本はうまく乗せられてしまったのだ。

 遅きに失したとはいえ、いまからでも対策をとらなければならない。東シナ海問題でも、南京問題でも、知的財産権の問題でも、環境問題でも、向こうが「助けてくれ」といえば助けるし、たとえ何もいわれなくても、わが国はこれだけ迷惑を被っているのだから、行動を起こすべきなのだ。

 首脳会談とは、握手をして、食事をして、少し込み入った話をしたから成功、というものではない。私も農林水産大臣や経済産業大臣として、何度も国際交渉を行なってきたが、本当の交渉とは、喧嘩して喧嘩して、決裂して、そこから始まるのである。ニコニコして、「友好第一で、あなたの好きなようにして結構です」というのは交渉ではない。最初に握手をしたら、その次にドンと机を叩く姿勢こそ大事なのだ。

 このところ日中関係は、一見、良好なように見える。昨年末に福田総理が訪中し、その少し前にも小沢民主党代表の訪中があった。この私ですら、北京や東京の中国大使館からいつでもおいでください、との声が掛かっている。

 だが北京へ行って話をしたところで、現在日本によい見通しが立つという気がしない。訪中した国会議員たちも何をしたかといえば、万里の長城や成都へ行くなど、観光旅行のごとき振る舞いであった。

 「中国にとって都合のいい日本」にならないこと。これがもっとも大切なことである。現在のように、日本に迷惑を掛けても構わない、と彼らが思っているのであれば、そうさせないよう、彼らが望むこととは違う行動をする覚悟が必要なのだ。

 逆に彼らが本気で友好や協力を求めてくるならば、それに真剣に応えればよい。本当の意味で、対等の「Win―Win関係」をつくることが重要なのである。

 そのためにもまず、弱っている経済や防衛体制を、日本は立て直さねばならない。国民が将来に対し、自信をもてるような政策を、われわれ自身が国内で確立する必要がある。経済的にも、精神的にも、さらには政治的にも強くなって、初めてわが国は「自立した国家」としての一歩を踏み出せよう。
author:senkakujapan, category:尖閣諸島, 07:33
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