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「反日」騒動の陰で着々 中国「海洋戦略」の脅威
読売新聞  平成17年5月10日
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/yw/yw05050101.htm

「反日デモ」が収まる気配のない中国。今回の騒動は歴史問題が端緒だったが、日中間のトゲは、それだけではない。中国側の一方的な開発阻止に向けて、日本政府が試掘手続きに入った東シナ海の天然ガス田問題、尖閣諸島の領有権問題、沖ノ鳥島周辺などでの中国による我が物顔の海洋調査……。今や東シナ海から太平洋にかけた海域は、日中の「対立の海」と化している。その背後に、台湾統一までを視野に入れた中国の壮大な海洋戦略がある。

本誌 中国問題取材班/撮影 読売新聞写真部


東シナ海の中国ガス田の一つ「天外天ガス田」で採掘施設(左奥)の建設作業を行う作業船(2004年6月。本社機から)

 「今後、ガス田は有望なエネルギー源だ。中国との関係もあり、対立の海から協力の海にしていこうという狙いがある」

 中国側が開発を進める東シナ海の天然ガス田問題。4月13日、日本の民間開発業者に試験採掘を認める「試掘権」設定の手続きを始めたことについて、小泉首相は、そう話した。

 言うまでもなく日本は、四方を海に囲まれた島国だ。「協力の海」であるに越したことはない。が、中国の野望が、それを許してくれそうにない。後述するが、中国は東シナ海から南シナ海、そして太平洋までを視野に入れた壮大な海洋戦略を抱いている。それを頭に入れないことには、天然ガス問題や尖閣諸島の領有権問題、果ては、台湾の独立問題も理解できない。

 まず、東シナ海だが、ここでは、日本が主張する排他的経済水域(EEZ=沿岸から200カイリ)の境界線である「日中中間線」の中国側で、中国が1990年代から複数の石油・ガス田を開発し、一部は操業してきた(図1)。

 採掘地点が日中中間線のすぐ近くにあるガス田の構造が、中間線の日本側まで海底で連続していることが日本政府の調査で判明。日本側の資源まで吸い取られかねない懸念が高まってきたのだ。

 「資源小国」の日本にとって、この海域に眠る天然ガスなどを活用する意味は大きく、60年代後半から、帝国石油など複数の民間企業が試掘権の設定を日本政府に出願した。しかし、政府は、日中間の紛争につながりかねないとして、40年近く手続きを保留してきた。一方で、中国側に開発作業の中止と地質データの提供などを求めてきた。

 ところが、中国側は要請に応じず、今年夏にも一部ガス田の新たな操業開始が予想される。そこで、日本も「試掘権設定」という対抗措置に乗り出したのだ。中国で反日デモが続くなか、あいまいな態度を続けていては、中国に誤ったメッセージを与えてしまう、との判断も政府内で高まった。

 日本側の狙いは、「対等条件」での日中共同開発に持ち込むことだが、見通しは険しい。

 問題の場所は、日中が領有権を争う尖閣諸島に近い海域。実は、ガス田問題は「尖閣問題」ともかかわっているのだ。

 そもそも、中国が70年代に、突然、尖閣諸島の領有権を主張し始めた背景には、東シナ海のエネルギー開発への関心があったとみられている。この二つの問題の経緯を、ひもといてみよう。



図1 東シナ海の中国石油・ガス田の開発状況


「尖閣問題」の発端も海洋資源


尖閣諸島(沖縄県石垣市)に向かう中国の活動家らを乗せた船(中央)の進路をふさぐ海上保安庁の巡視船(2003年10月。本社機から)
 事の発端は68年に行われた、国連アジア極東経済委員会などによる東シナ海の学術調査だった。領有権問題に詳しい、芹田健太郎・愛知学院大学教授(国際法)は、

 「この調査で、尖閣諸島周辺を含む広い海域の海底に、石油資源が豊富に埋蔵されている可能性が指摘された。中国外務省が尖閣諸島の領有権を主張し始めたのは、その3年後。エネルギー問題で急に尖閣諸島に関心を持ち始めたとしか思えません」。

 中国政府の領有権主張の根拠は、何なのか。中国の主張をまとめると、次のようになる。

 「尖閣諸島は、明の時代から中国の領域で、日清戦争で清朝の敗北が確定的になった1895年に、日本が『かすめとった』。戦後、沖縄返還協定の返還区域に尖閣諸島が組み入れられたことは、中国の領土と主権の侵害である」

 これに対し、日本政府は、

 「1885年以来10年、数回にわたり、沖縄県を通じて尖閣諸島を実地に調査し、清国に所属する形跡がないことを慎重に確認して、1895年1月の閣議決定で尖閣諸島を沖縄県の所管にした」

 と真っ向から反論。日本は連合国占領期を除き、一貫して実効支配を続けている。

 ところが、90年代後半から中国、台湾、香港などの活動家が、海上保安庁の警告を無視して、たびたび尖閣諸島周辺の領海に侵入。昨年3月には諸島の一つ、魚釣島に活動家数人が不法上陸し、日本側が逮捕、強制送還する事態が起きているのだ。

 今回の反日デモにも中国の“尖閣活動家”が関与していた。

 尖閣諸島をめぐる日中の主張はかみ合わないが、双方の主張を分析した芹田教授は、中国側の主張には無理があると、次のように指摘する。

 「中国側の古文書を見ても尖閣諸島の名があったりなかったりして、明確な領有意識があったようには見えない。しかも、中国側は終戦後の45年10月、それまで日本統治下にあった台湾周辺地域を自国領に回復・編入する措置を取ったが、その際に尖閣諸島を除外している。

 翌46年1月、連合国軍総司令部(GHQ)が、米軍が軍事占領する沖縄県の範囲に尖閣諸島を明記した覚書を出してからも、中国が抗議を申し入れた形跡はない。当時は、中国側にも尖閣諸島は日本領だという認識があったとしか考えられません」

 このように、日本側から見れば、かなり無理のある主張をしてまで尖閣諸島にこだわり、海洋資源の獲得に中国が乗り出した理由は明白だ。13億人という世界第1位の人口を抱える中国の経済成長にとって、エネルギー資源の獲得が至上命題だからだ。


東シナ海をめぐる日中の主な動き


70年代に始まった海洋進出
 もともと中国には、黄海、東シナ海、南シナ海はすべて「中国の海」という考え方があるという。そうした中華思想的な発想を根底に、70年代から周辺海域への進出を続けてきた。最初に手を付けたのは南シナ海だ。

 70年代前半、中国は南シナ海の西沙諸島を押さえ、諸島に飛行場を建設した。さらに80年代後半には、南沙諸島へと進出。同諸島に高床式の建物を造って人が常駐したが、ベトナム、フィリピンなどとの間で領有権紛争が続いている。

 同時に、80年代から東シナ海の20か所近くでボーリングを行うなど、東への布石も打ち始めた。中国側は、東シナ海の石油・天然ガス田からパイプラインを通じて上海に天然ガスや石油を送る計画を立て、90年代後半以降、日中中間線の中国側でガス田などの操業を相次いで開始したのだ。

 中国の事情について、日本エネルギー経済研究所の十市勉・常務理事は、

 「中国は世界6位の産油国だが、急激な経済成長に伴う国内消費で、93年に石油の輸入分が輸出分を超過する純輸入国に転じ、2003年には日本を抜いて、米国に次ぐ世界第2の石油消費国となった。一方、2020年には経済規模を2000年の4倍増にすることを国家目標に掲げ、必要なエネルギー確保のため、中東・アフリカ産油国やロシアと石油・ガス田開発や資源輸入を進める資源外交を活発に展開している。東シナ海は、上海など東南部沿海地域のエネルギー供給地と位置づけているのです」。

 日本側としては、ガス田開発だけが問題ではない。90年代後半から、日中中間線の日本側海域で、中国が我が物顔に行っている海洋調査も座視できないのだ。

太平洋で軍事目的の海洋調査?



日本の最南端・沖ノ鳥島(東京都小笠原村)の東小島に建てられた、日本の領土であることを示す標識(2005年3月)

 国連海洋法条約では、他国のEEZ内で科学調査を行う場合、相手国の了解を得るよう定めている。日中間では01年から、調査の際の「事前通報制度」が作られたが、中国は事前通報のない調査をたびたび行っており、昨年は尖閣諸島周辺など東シナ海で4件、沖ノ鳥島周辺など太平洋沖で18件の「違法調査」が確認されたのだ。

 沖ノ鳥島について、中国は日本の領土と認めているが、国連海洋法条約でEEZを持てない「岩」であると、昨年から主張し始めた。EEZ以外の公海での海洋調査は自由だからだ。

 ここで気になるのは、中国の海洋調査が東シナ海にとどまらず、太平洋側の日本近海にまで及んでいることだ。

 中国問題に詳しい、杏林大学の平松茂雄教授は、こう話す。

 「海上保安庁の巡視船の中止要求を無視して、中国側は調査を行っている。奄美大島西方での調査は大陸棚の石油探査だが、沖縄本島と宮古島間の海域から太平洋側では、円筒形の観測機器などを海中に投入する調査を繰り返している。水温や塩分分析をしているようだが、この方法を見ると、潜水艦の航行や、対潜水艦作戦に必要な情報収集を行っている疑いが極めて強いのです」

 中国の海洋調査は、単なる資源確保だけでなく、軍事目的もあるというのだ。

 「中国の南シナ海への進出も、きっかけは石油などの海洋資源だが、もう一つの狙いは南シナ海の支配権を確保すること。台湾南側のバシー海峡を抜けると太平洋に出られるため、南シナ海は中国の戦略上、非常に重要。そして、もう一つ、重要なのが、東シナ海から太平洋にかけた海域です。中国は90年代に東シナ海の調査をほぼ終えて、21世紀に入ると、小笠原諸島や沖ノ鳥島周辺など太平洋側の広い海域の調査に乗り出したのです」(平松教授)

 中国にとって日本近海の太平洋が、なぜ重要なのか。平松教授は、台湾統一問題と密接な関係があると言う。

 「この海域は、横須賀やグアム基地の米空母が、台湾周辺へと展開する際のルートに当たっているからです」

台湾統一にらむ壮大な戦略
 中国が、日本近海の太平洋を戦略的に重視し始めたきっかけは、96年3月の台湾総統選だったようだ。

 台湾で初めて行われた総統選で、再選されたのは「台湾の独立」を掲げる李登輝氏だった。台湾の独立傾向が高まるのを懸念した中国は、95年から96年にかけて台湾近海でミサイル発射などの軍事演習を繰り返し、威嚇した。これに対し、米国は、横須賀と中東にいた空母2隻を台湾近海に派遣し、中国を牽制したのである。

 「この時の経験は、中国にとって屈辱だった。中国は、台湾有事の際に米国の介入を阻止するには、台湾近海への米空母の派遣を、潜水艦でブロックできる体制を整える必要があると痛感した。そのため、日本近海の太平洋で潜水艦航行のための調査を進めているとみられます。しかし、中国側の行動に、日本政府はこれまで、有効な対抗策を取ってきていません」(平松教授)

 昨年11月に大騒ぎになった中国原潜の日本領海侵入も、軍事目的の調査とみられている。

 中国が台湾統一での軍事オプションを捨てていないことは、今年3月に採択された「反国家分裂法」を見ても明らかだ。この法律で、中国は、台湾独立阻止のための武力行使の枠組みを整えた。

 ただ、現在の両国の軍事バランスでは、中国が台湾を武力制圧するのは困難、というのが専門家の見方だ。しかし、2020年ごろには中国の軍事力が台湾を圧倒し、武力制圧も可能な状況が生まれるとみられている。

 「そうした状況で米国の介入も阻止されれば、台湾は大坂夏の陣の豊臣方と同じ。外堀も内堀も埋められたら、本丸は自然に落ちる。『戦わずして勝つ』のが孫子の兵法。これが中国の究極の狙いでしょう。台湾の陳水総統は、それに気づいていたからこそ独立を急いでいた、とみることができます」(平松教授)

 図2の海洋地図を、よく見てほしい。日本ではあまり意識されないが、台湾は中国大陸周辺の海域のほぼ真ん中に位置し、南方には、ゴム、錫、石油など重要な戦略物資の産地である東南アジアの島々がある。中東の石油が日本、韓国などに運ばれるシーレーンもすぐ南側を通っている。

 台湾が“外国”であり続ける限り、中国は大洋への出入り口をふさがれている。しかし、中国が台湾を統一すれば、これまで台湾南方のバシー海峡と、東シナ海から沖縄本島・宮古島間の海域、という二つの狭いルートを通らないと出られなかった太平洋に、中国海軍がすぐに出られるようになるのだ。

 「中国にとって、台湾の戦略的重要性は極めて高い。中国の台湾統一により、シーレーンも含め東アジアは完全に中国の影響下に入るでしょう。日本にとって、台湾統一は決して他人事ではないのです」(平松教授)

 このような見方をすれば、中国の一連の動きは、単なるエネルギー問題や領有権問題にとどまらず、21世紀半ばにおける、東アジアでの中国の“覇権”確立を目指した壮大な戦略に基づいていることになる。

 いたずらに「中国脅威論」をあおることは賢明ではないが、「事なかれ主義」では解決できない、重大な問題が日中間に横たわっていることは確かだ。日中の良好な関係を保ちつつも、中国の壮大な戦略にどう対処し、日本の海洋権益を守っていくのか。極めて難しい舵取りを日本政府は迫られている。


author:senkakujapan, category:尖閣諸島, 20:16
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日中ガス田問題/試掘支援する法整備を急げ
世界日報社 2006年3月12日
http://www.worldtimes.co.jp/syasetu/sh060312.htm

 東シナ海の天然ガス田開発をめぐる第四回日中局長級協議で、中国側は受け入れ難い新提案をした。時間稼ぎが最大の狙いだろうが、尖閣諸島の主権を主張した上での同諸島周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)内での共同開発提案は、尖閣諸島を中国領土に組み入れるための布石とも読み取れ、警戒が必要だ。
 日本としては、試掘を開始できる法的環境整備を早急に整え、新たな外交カードを持って強い姿勢で次の日中協議に臨めるよう対処すべきである。


時間稼ぎし開発を継続
 日本側の提案は前回協議で示したもので、「白樺」(中国名・春暁)ガス田など、両国から等距離にある中間線をまたぐ海域での四カ所を含む鉱区での共同開発だ。
 これに対して中国側は今回、別の二海域での共同開発を提案してきた。一つは、尖閣諸島の北側で、領海(同島から約二十二・二〓)すれすれの日本側のEEZ内で、もう一つは、日韓大陸棚協定に基づく日韓共同開発区域内である。

 尖閣諸島の領海内は含まれていないとはいえ、九二年の領海法で尖閣諸島を勝手に自国の領土に組み入れた中国にとっては、その周辺に新たな足場を築くことを意味する。南沙諸島や西沙諸島の領有権をめぐるベトナムなどとの紛争でも、結局は中国が実効支配した。領有権の主張を強化し、領土紛争に巻き込む狙いのある可能性も否定できないことから、日本としては寄せ付けない方が賢明だ。

 また、この海域は、日本が主張する日中中間線内に入り込んでいるばかりでなく、大陸棚が続く「沖縄トラフ」までが自国のEEZだとする中国の主張を補強し得る際どい位置にある。これを認めれば、中国の境界線の主張を強めることになろう。

 今回の中国の狙いは、新提案をすることで、交渉を引き延ばし、時間稼ぎをしたことにあろう。

 小泉首相の靖国参拝を理由に協議を約五カ月間延期した中国は、この間、ガス田開発を継続し、月内にも「白樺」で生産が可能な情勢になっているという。

 しかも、海底資源の大半は中間線から日本側に埋蔵されているとの見方が有力で、すでに生産がスタートしている「樫」ガス田とともに、日本側の資源を吸い上げる作業を始め、他のガス田も同様に既成事実化する考えに違いない。

 その打開策は、期限を区切り決着できなければ日本独自に試掘を行うとの意思表示をすることだ。そして、試掘や開発を行う際の安全確保を目的とする法律を早急に整備する必要がある。中国の官製市民団体や軍などの妨害行為から守らねばならないからだ。

 すでに自民党はそれに対処するため、「海洋構築物の安全水域に関する法案」をまとめ、公明党、民主党と共同提出する見通しである。それを成立させた上で、中国側と交渉をすれば効力があろう。それでも、時間稼ぎを図るなら、日本独自で試掘調査に踏み切り、中間線の日本側海域の開発をスタートさせるべきだ。


領土・領海の防衛意識を
 国際エネルギー機関(IEA)によると、日本のエネルギー自給率は4%と世界の中でも極端に低い。しかし、東シナ海の日本側海域には、石油や天然ガスが原油換算で五億キロリットルの埋蔵量があると経済産業省は試算している。それは日本の原油国家備蓄量の十倍に相当する。
 領土・領海に対する防衛意識を強め、中国の出方を警戒するとともに、エネルギー国家安全保障の観点からも検討すべきである。
author:senkakujapan, category:尖閣諸島, 19:20
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尖閣諸島「双方主権棚上げを」 中国軍幹部、境界線画定で論文
産經新聞  平成18(2006)年4月24日[月]
http://www.sankei.co.jp/news/060424/morning/24pol002.htm
http://nnl.jugem.jp/?eid=1061

 【北京=野口東秀】中国人民解放軍の現役幹部が、東シナ海のガス田開発をめぐる日中間の問題について、このほど論文を発表し、日中中間線の基点である尖閣諸島(中国名・釣魚島)に対する双方の主権を棚上げすることが境界線を画定する方法の一つだと主張した。日本は尖閣諸島は固有の領土で中国の主権はもちろん、領土問題の存在自体認めていない。しかし、論文は先に日本が油田の共同開発案に応じたことから、日本がいずれ妥協してくると分析している。

 「中日の東シナ海境界線問題とその解決」と題する論文は、人民解放軍総装備部の張東江氏と空軍政治部の武偉麗氏の連名で、政府系研究機関・中国社会科学院の専門月刊誌「世界経済と政治」の最新号に掲載された。

 論文では、ガス田をめぐる日中協議の中で日本側が中国側の提案した共同開発案の交渉に結局は乗った経緯を踏まえ、今後日本側が中国の主張に同意する可能性に言及。今後、時間をかけて協議に臨むとしている。

 そのうえで日本が「中間線」の基点のひとつとしている尖閣諸島について、「面積も小さく無人島であり、境界線画定の関係ではいかなる法律効力もなく境界の基点にはならない」(中国政法大学の海洋法専門家)との見解を踏まえ、暫定的な棚上げも選択肢の一つだとした。

 論文はさらに「武力解決」は「経済関係が密接な両国共に傷つく」とする一方、「国際的仲裁も西側大国の影響を受ける」と否定。境界線画定に加え「合理的な開発システムを協議すべきだ」として、双方が権利を主張し重なり合う海域での暫定的な開発中断なども模索すべきだとしている。
author:senkakujapan, category:尖閣諸島, 07:53
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脅威への備えは十分か 9条改正して自立基盤作ろう
産経新聞   平成18(2006)年5月2日[火]
http://www.sankei.co.jp/news/060502/morning/editoria.htm
http://nnl.jugem.jp/?eid=1060

■【主張】あす憲法記念日 
 昭和二十二年に施行された憲法があす五十九周年を迎える。日本の非武装化を目的としていた憲法が想定していた世界は今や激変している。

 周りをみても、軍事力を強化する中国や核開発を公言する北朝鮮、さらには国際テロなどの脅威がはびこっている。無抵抗平和主義に近い憲法九条で日本の独立と平和を守ることができるとは到底いえまい。

 日本が激動する東アジアで生き抜くためにも脅威への備えを怠ってはならない。核心は九条の改正である。

 一方で政治の動きは鈍い。憲法改正のための国民投票法案ですら、今国会にいまだに提出されていない。手続き法の整備を急ぎ、国や国民の安全を守るための手だてを講じることこそ政治の責務である。

 米国防総省が二月にまとめた「四年ごとの国防計画見直し」(QDR)は、十八年連続で二けたの伸びを示す中国の軍備増強について「地域の軍事バランスを危険にさらしている」と、脅威との認識を示した。

 中国の日本への軍事的な威嚇とみられる活動も相次いでいる。東シナ海でのガス田開発で昨年、調査していた日本の船舶近くに、中国海軍の最新鋭ミサイル駆逐艦二隻が現れ、牽制(けんせい)行動を行った。海上自衛隊の哨戒機に銃口を向けた軍艦もあった。日本の防空識別圏に侵入した中国機による電波収集活動も過去一年間、急増した。

 ≪力で主張を通す隣国≫

 中国がこうした行動を取るのは、日本の固有の領土である尖閣諸島を自国領土とした領海法を一九九二年に制定した際、外務省が通り一遍の抗議で済ませたことも無縁ではない。

 竹島周辺海域で韓国側は日本の排他的経済水域(EEZ)を含め、過去四年間で四回、測量調査したのに対し、日本は三十年以上も調査してこなかった。これらは領土と領海を守る国家意思がいかに希薄かを示していよう。

 問題は、日本が国家意思を示そうとしていないことだ。これは主権国家として正当な権利を行使することを制限している憲法に起因する。憲法前文は「平和を愛する諸国民の公正と信義」に生存を委ねるとうたっている。いまだに領土や領海を不法に侵害する行為を排除する権限を自衛隊に与えていないことにもうかがえる。

 中国国家海洋局の幹部は四月二十八日、竹島問題に言及し、「一切の代償と犠牲を惜しまない韓国の強硬姿勢は中国が手本とするに値する」と述べたという。力で主張を押し通そうという隣国が存在しているのだ。

 こうした国々への備えをどう考えるのか。中国に対しては「利害を共有する国」へと導く外交努力を行う一方、敵対的な国になることにも備えたい。その意味で、いざというときに対応できる体制が整備されなくてはならない。自国のEEZ内の経済権益などを守る意思に加え、米国に頼らない抑止力も必要なのだ。

 ≪抑止力も欠かせない≫

 憲法と現実との乖離(かいり)に国民は関心を寄せている。内閣府が二月に実施した防衛問題に関する世論調査では「日本が戦争を仕掛けられたり、戦争に巻き込まれたりする」危険があると答えた人は45%にのぼった。その八割近くが「国際的な緊張や対立」を挙げた。

 九条改正についても三月五日付毎日新聞の調査は、賛成49%で反対41%だった。一概に断定できないが、これまでの九条改正反対派の優位が変わりつつあるといえよう。

 九条改正の具体案も見えつつある。自民党が昨年十月にまとめた新憲法案では「自衛軍」が明記された。民主党がまとめた「憲法提言」には自衛権が明記された。公明党が十月発表予定の「加憲」案は、自衛隊の存在を追加する方向という。集約すると自衛隊を憲法上明確に位置づけ、国民の平和と安全を守るために活用することにつきる。その意味で九条などの改憲案の合意作りへの与野党の努力はなお不十分である。

 一方、教育基本法改正案が国会提出された。「国と郷土を愛する態度」が盛り込まれた。国の有りようを決める憲法と並ぶ枠組みだけに国会論議を通じてよりよき内容にすべきだ。受け身ではなく、国を造る日本人の気概と自立心が試されている。
author:senkakujapan, category:尖閣諸島, 07:45
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